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#5『ザ・ギフト(原題:The Gift)』/嘘にまみれた人生の代償

 

年の八月も最終日になりました。ここしばらくはホラーサスペンスを中心に鑑賞してきましたが、夏の終わりに選んだ作品が『ザ・ギフト』です。タイトルとあらすじから、贈り物が過激になっていく物語だとは予想していましたが、見た目の派手さではなく、精神的に激しく揺れ動く物語でした。

 

『ザ・ギフト(The Gift)』は2015年にアメリカで制作・公開されたスリラー映画です。監督、脚本、製作を務めたのはジョエル・エドガートン。彼自身もゴードン役で主演しています。2010年に脚本の執筆を開始したということですが、実際の撮影期間は25日間。年々映画撮影の期間は短くなっているらしいですが、撮影自体がひと月で終わってしまうのには驚きです。準備に膨大な労力が費やされていることとは思いますが。

vap.co.jp

 

の転職により、カリフォルニアの郊外という新天地に引っ越したサイモンロビン夫婦。順風満帆に見えた夫婦の元に、買い物中、ゴードン(通称ゴード)というサイモンの高校時代の同級生だという男が現れます。

 

ードはワインを始め、地元業者の番号リストや生活必需品、そして池に鯉をプレゼントするなどしますが、その過剰なまでの親切心には夫婦もさすがに気味が悪くなります。ロビンはゴードを悪者扱いしたくない様子でしたが、サイモンは徹底してゴードに敵意を向けます。ゴードとサイモンの過去に何かがあったのだと思うロビン。調査をするうちに、夫サイモンの嘘にまみれた事実が噴き出してくるのです。

 

に贈り物(ギフト)が気味悪いだけでなく、ゴードがそれをするに至った動機が、作品の主軸として繊細に描かれています。一見善人で仕事の出来る男サイモンが、学生時代についた(彼にとっては)些細な嘘が、ゴードの人生を破滅に追い込んだ訳ですが、サイモンはゴードのことをほとんど覚えていませんでした。SKET DANCE集英社)の「いじめる方はいつだって冗談 でも…いじめられる方はいつだって本気だ」というセリフを思い出します。サイモンは高慢で周りの見えない人間なのです。

 

演の三人が適役で、クセの強い登場人物をなんとも上手く演じています。デキる男サイモンが嘘の露見とともに崩壊していく様には、一種の爽快感があり、薬物中毒だったロビンは序盤、見ていて不安になるほど精神的に弱っていましたが、最終的に自立した女性になった時には、母としての強い意志を感じました。

 

して何といってもジョエル・エドガートンのゴード役はハマり過ぎです。玄関前に立っているだけで寒気を感じる存在感と、無機質な、しかし深い憎悪と悲しみを湛えている目力は、俳優として天稟の才だというしかありません。

 

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人を破滅に追い込んだ人間が、徐々に化けの皮を剥がされ逆に弄ばれる本作。ゴードが最後に送った贈り物(ギフト)には誰もが底知れない恐怖を感じるでしょう。鑑賞後、知らぬうちに誰かを傷つけていないか、過去を顧みずにはいられない作品です。

(2015年/1時間47分)

 

ザ・ギフト (字幕版)

ザ・ギフト (字幕版)

  • 発売日: 2017/03/08
  • メディア: Prime Video