映画初心者のつぶやき

Amazonプライムビデオを全力で楽しむブログです

#7『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(原題:Odd Thomas)』/超絶な視覚効果・不遇な良作

 

Amazonプライムビデオにて『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』を鑑賞しました。ここ最近は始終緊張感の続く作品を観ていたので、爽快感のあるサスペンスはどうだろうかと探したところ、この作品に出会いました。

 

2013年制作のアメリカ映画ですが、制作会社や配給会社に裁判沙汰のトラブルがあったようで、結局北米では公開されず、日本でのみ(しかも2館、1週間だけ)限定公開されたとのこと。制作費に対する興行収入も当然雀の涙で、なんとも不遇な作品です。

 

語は主人公オッド・トーマスの語りで進行します。霊が見えるという能力を持ち、成仏の手助けをするオッド。ある日、自身の働くダイナーにボダッハという異形の存在が群れを成して現れます。ボダッハは凄惨な死の予兆。町が血祭りになるのを防ぐため、オッドは原因を突き止めようと奔走します。

 

りきたりな設定にも関わらず、序盤からVFX(視覚効果)が炸裂し、アメコミの実写さながらのアクション感があります。監督は「ハムナプトラ」シリーズを担当したスティーヴン・ソマーズ、視覚効果はアバターダークナイトを制作したチームが担当したとのこと。我々の技術を見よ、と自信満々に突き付けられているようでした。

 

半にかけては、霊が見える設定を効果的に使ったトリックが多用され、視覚効果に慣れてしまっても飽きさせない作りでした。1時間半という長くはない時間で、驚愕とまではいかずとも、はっと裏切られる瞬間が何度もあり、伏線回収もきっちりされています。銃で撃たれる夢を見て、胸を守る鉄のペンダントを作ったり、覆面を取ったら想定外の人だったり……ベタがベタらしくちゃんと面白い結果を生むのは良いですね。

 

作はアメリカの作家ディーン・クーンツによる「オッド・トーマス」シリーズの一作目『オッド・トーマスの霊感』。長編のため、興行さえ上手くいっていたら当然続編も考えられたでしょう。アメリカで公開出来なかったことが悔やまれます。しかしオッド役のアントン・イェルチンは2016年に事故のため27歳で夭逝したとのこと。不遇に不遇が重なったものの、ストリーミング動画で流通し始めた現在になって再評価されているのは、嬉しくも切ない気分です。時間をおいてもう一度見たい、と思う作品でした。

(2013年/1時間36分)

 

 

yuki-video.hateblo.jp