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#4『ライト/オフ(原題:Lights Out)』/暗闇に巣くうもの

 

気を消すと"それ"は来る――得体の知れない何者かを匂わせる謳い文句に惹かれ、先日鑑賞したのが、その名も『ライト/オフ(原題:Lights Out)』です。アメリカで制作され、2016年に公開したホラー映画で、長編にしては比較的短い81分の作品です。

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ペインの映像作家デヴィッド・F・サンドバーグが、2013年にネットで公開した短編を元に長編映画化した作品で、サンドバーグ長編映画監督デビュー作でもあります。

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頭、ポールという男性が、得体の知れない何者かに殺されてしまいます。分かったことは、暗闇でだけ化け物染みたシルエットが見え、電気を点けた瞬間その姿は消えてしまうということ。開始早々"何か"の姿がはっきりと現れ、依然として得体は知れないものの手探りの状態ではなく、これからこの化け物と対決するのだな、と身構えるような導入です。

 

は移り、ある一家に焦点が当てられます。母親はポールの元妻ソフィー。子供は二人、姉のレベッカと幼い弟のマーティンがいますが、彼らは父親が違います。ある日、マーティンは一人暮らしのレベッカに「電気を消すと、何かが来る」と告白します。思い当たる経験のあったレベッカは、正体を突き止めるため実家へ乗り込むことを決意します。

 

つ病を患っている母ソフィーと、「ダイアナ」と呼ばれる得体の知れない"それ"の関係性がSFチックで面白みがあります。ダイアナは幼少期特殊な皮膚の病気で、人の頭に入り込み洗脳できたといいます。ダイアナは治療の過程で亡くなったとされていましたが、彼女に心酔していたソフィーは「昔見捨てたから……」と、恐るべき姿で子供たちを襲うダイアナを擁護するのです。家族は大切だけれど、ダイアナを見捨てたくないというジレンマに苛まれる母親の葛藤がもどかしく表現されています。

 

語の終盤ではダイアナと対決する訳ですが、少々準備時間があったにも関わらず、ほとんど戦略のない状態で夜を迎えたのが、あっさりしすぎな気がしました。しかし、明かりが弱点という情報だけでは懐中電灯やキャンドルを準備するのが精一杯であり、「ホームアローン」のようなコメディではなく正統派ホラーであるため、現実味を追究するなら、これが正解なのかもしれません。

 

は誰しも怖いものです。路地裏、深い森、ベッドの下、押し入れの中……。そこに何かがいるかもしれない、そんな恐怖を味わうことは多々あるはずです。監督のサンドバーグはこう語っています。

僕はこの映画が人々を怖がらせるとすれば、それは暗闇の恐怖は実際には未知のものに対する恐怖だからであり、その意味では誰にでも共通するものだからじゃないかと思います。そこに何が隠れているのか、そしてそれが自分を追ってくるのかどうか分からない。

 

闇に対する根源的な恐怖に実体を与え、それに立ち向かう家族の複雑な葛藤を描いた『ライト/オフ』。鑑賞後に電気を消すのを躊躇ってしまう、そんな作品です。

(2016年/1時間21分)

ライト/オフ(字幕版)

ライト/オフ(字幕版)

  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: Prime Video
 

 

 

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